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 株式会社トミーウォーカーが運営するネットゲーム「SilverRain」のPC雪白ハクヤの日記帳。
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 【2】捻れた家


前言ったことあるかもしれねーけど、俺ん家結構裕福なんだよ。
学園の能力者、特に忍者が多かったっけか。
一個の集落っつーか。
今時、時代遅れだよなー。
古ぃー決まり事とかあっし、保守的だし、あーそれとすっげー余所者が嫌ぇーなんだぜ。

・・・救いようがねぇよなー。頭固すぎだっつーのほんと。

・・・あー、もう、寝る!!
(ばさっと布団を被り潜り込んだ)




その夜ハクヤは夢を見た。
学園に来る前の、忍にもまだ会って無い。
「独り」だった頃の。








里内でも有数の実力者である家に真っ白な子供が生まれた。
生まれたときからその子供は真っ白な髪を持っていた。
広大な敷地に建てられた屋敷は時代劇に出てきそうな古風な、それでいて立派な物だった。

だから、そんな家に生まれた真っ白な子供は何もしなくても豪華な食事を与えられたし、ボロボロの服を与えられたわけでもない。
眠るための寝具も暖かい物であったし、学業も学校こそ通えなかったが、家庭教師のような大人が決まった日に決まった時間だけ真っ白な子供の元に訪れた。

どちらかと言えば随分裕福で、不自由ない生活だろう。




でも、けれど、そこには「何か」が徹底的に足りなかった。

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真っ白な子供が物心ついた頃の記憶の中で、もっとも古い記憶は父親のぬくもりではなく「拒絶」だ。
母親の記憶はない。そのころにはもうこの世にいなかったから。
生まれた直後から屋敷の離れに追いやられたまま、滅多なことがなければ外出も許されず、それどころか離れから出ることもままならなく。


人恋しさに泣きながら手を伸ばせば振り払われ、体調を崩せば煩わしそうに表情を歪められる。
暖かな視線を投げ掛けられたことは一度もなかった。
それは父親だけではなく、屋敷で忙しなく働く使用人達も例外ではなく。



「替えのタオルです。それから、これが今日の食事なります。残さず食べたんですね偉いですわ」

「・・・あ、」


一度身の回りの世話にあてがわれた一人の使用人が優しく接してくれたので、勘違いをした真っ白な子供は純粋にもう少しだけいて欲しくて手をのばした事があった。



途端、



「?・・・ひっ!!?」


悲鳴と振り払われた衝撃を感じたときに、それは作り物の優しさだったのに気づいて。
その使用人が転びそうなほど滑稽に逃げ出し、古い廊下を逃げ惑うように走っていくのを呆然と見送って。





・・・それ以降、手を伸ばすのをやめた。





何処までも伸びているように錯覚してしまう塀に囲まれた閉鎖的で小さい庭と、薄暗い殺風景な和室。

四角い箱に閉じこめられているような、それが真っ白な子供の世界すべてだった。



それでも地下室に幽閉とまではいかなかったからまだマシなのだろうか。
日の当たる場所に出られるだけマシだったろうか。
明日を生きるのに尽力しなければならない者よりはマシだったかもしれない。



耐えれば問題ないと言ってしまえばそれまでの。

けれど、耐えられなければ何よりも辛く。



離れから出られるのは、「寄り合い」のときだけ、古い里だからこそ残っているような古い慣習のときだけだった。
有力者の家だったので、子供が生まれたことも周知の事実。
それはつまり実子を見せないわけにはいかないということ。

寄り合いで醜態を見せるな、とあの男、真っ白な子供の父親は不本意そうに寄り合いの広間へと連れ出しに来たが、真っ白な子供にとってもたまったものではない。
父親の家系と辿っても、母親の家系を辿っても、白髪の子供など生まれたことが無く、ハクヤはその家系でイリーガルな存在だった。
その上異国の血が混じっているかのような鮮明な青緑の瞳だ。
閉鎖的な里だったからその扱いは明確で、毎回毎回奇異の目で見られるのが分かっているのに連れて行かれるのは、幼いハクヤには酷く堪え、離れにいるときより辛く、泣きたくなった。

不幸なことに才能もなかった。
里の子供は生まれたときから泳ぎが得意であったり、水中呼吸が難なく出来る者がほとんどであったのに、ハクヤは泳げこそすれ、水中で呼吸するなど出来なかった。
唯一有した能力は死人の匂いが分かることだったが、それがさらに真っ白な子供を寄り異質な存在にしてしまった。

学園に来るまで、里の人間も子供自身も、自分がゾンビハンターの能力を持ってるなど知らなかったのだ。


一部には優しく接してくれる者もいたが、ソレを理解する前にあの男が先に離れへ戻っていろと押しやったので、すべての大人が自分を嫌悪している、としか思えなくて。

しかし、少しでも嫌がれば、次にあるのは躾という名の折檻だ。
一度。一度だけ、


「・・・、も、いきたくない」


と、か細い声で訴えたことがある。
頭がガンガンと痛み、熱くて、そんなことを言えばどうなるのか判断できなかったのだ。
体調を崩していたのだと気づいたのは、嵐が過ぎた後。


「・・・なんだと」


背筋が凍るような声色にびくりと目線を上げればでその男が自分を見下ろしている。
自分が言ってはならない事を口にしてしまったことに気づいたが、もう遅かった。

ガクッっと身体が揺れたのを感じた直後、背中にガンッと衝撃が走り息が詰まった。

壁に身体を叩きつけられたと遅れて気づく。

目が、チカチカする。
痛い。痛い痛い。苦しい苦しい。


「かっ・・・、はっ・・・っ」


息を整える間もなく、次は脇腹に鈍痛が走る。
視界の端にあの男の足が見えた。


「お前のような忌み子を息子だと言わなければならない私の身を考えろ!!行きたくないだと?そんなことを言える立場だと思っているのか!!!!!」


二度、三度目でようやく身体を丸めて身を守った。
それでもまだ未発達の身体に成人の蹴りは驚異だ。
意識を手放す直前にようやく攻撃がやんで、呼吸が整わないままただ震える。


「・・・良いか。二度と身の程をわきまえない言葉を口にするな」


最後までそこには戸惑いも後悔もなく。
男は不愉快そうに顔を歪めたまま部屋を出て行く。
痛みに視界が滲みながらただ、その姿を見送った。

頭が痛い。息が苦しい。くらくらする。

次に意識が戻ったときは、体調は良くなっていたが、ただ、蹴られた脇腹と、ぶつけた背中がとても痛かった。




いつからか、真っ白な子供は期待するのをやめた。
いつからか、真っ白な子供泣くのを我慢した。




我慢・・・というよりは、感覚を放棄したと言えばいいのか。
まるで時間が止まってしまったかのように。
早く痛いのが無くなってしまえばいいと思いながら、淀んだ瞳を瞬かせるだけだ。







「あ、その子が、」

「・・・息子のハクヤだ」

「・・・、こんにちは」


定期的に行われる寄り合いで新しく寄り合いに参加する者へ、普段の対応が嘘のように柔らかい微笑と声色であの男が挨拶をする。
真っ白な子供は久しく呼ばれなかった自分の名前を呼ばれて、忘れかけていた音を声にし、言葉へ変えた。
作り物めいた笑顔を浮かべ。




どうせ誰も笑顔を返してくれなどしないのに。




その笑顔は、あの男が浮かべた上辺だけの微笑と酷く似ていたが、どの大人の顔もまともに見られない真っ白な子供には分からないことだった。





----------------------------------------------------------------------------




「・・・っ!!!!」


ハクヤがバッと目を見開き最初に目に入ってきたのは、薄暗い天井。
でもそれはあの離れの天井ではなくて、忍と一緒に住んでいる銀誓館学園近くの家のだ。
喉がかすれてひゅーひゅーと音を鳴らすのと、視界が滲んでいる以外はいつもと同じ・・・、同じだ。
横目に忍が寝入っているのを確認すると、起こさないようにゆっくりと起きあがる。
吐き捨てるように小さな声で呻く。


「・・・・・・・畜生・・・っ」


また、気づけば項を押さえていた。
固く目をつぶり、荒くなった呼吸を必死で整える。
少し遅れて、乱暴に目を擦る。
そして布団に潜り込むと、以前よりは成長した身体を出来るだけ丸めた。
隠すように自らの髪を両手両腕で隠すように抱えて。



---生まれたときから白髪なんて気持ち悪い。
---馬鹿ね聞こえるわよ。
---あんな忌子、生まれてこなければ良かったのに。鬼の子かもしれないわ。





夢の中、廊下の向こうから聞こえてきた声が、まだ耳から離れない。




ああ、酷く、頭が、痛い。
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2008⁄02⁄08 10:46 カテゴリー:SS
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プロフィール

雪白ハクヤ

Author:雪白ハクヤ
性別:男
職業:クルースニク×魔剣士
誕生日:11月8日


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